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小型太陽光発電の電力見積

太陽光発電
sukaisu2050

農地の潅水の目的で太陽光発電・バッテリー蓄電のシステムを検討しています。

システム構成例をもとにバッテリーへの充電能力を見積もります。

また大まかに消費電力も見積もります。

太陽光発電の構成例

避難所に行かない防災の教科書」では以下のようなソーラーパネル・バッテリーシステムを挙げています。

これをもとに考えてみましょう。

分類商品名備考
ソーラーパネルRenogy 100W100W(120W、175W、200Wタイプもある)
チャージコントローラRenogy Wanderer 10APWM制御、10A(20A防水タイプもある)
バッテリーLONG WP20-1212V20Ah(=240Wh)
インバータMeltec SIV-500450Wタイプ。AC100V×2口、DC5V/2.4A

充電能力

トランジスタ技術SPECIAL No.170」を参考に充電能力の見積もりを行います。

場所は見通しの良い、陰になる障害物のない土地を想定しています。
使用する時期は春から夏を想定しています。

項目備考
aパネル発電電力100W仕様より
bパネルの発電効率0.5実験より
c設置場所による発電効率1.0南向き、傾斜角適切
d発電時間5.0h日当たり良好
e安全係数0.7
f充電できる電力175.0Wh

(b)はトラ技の記事の値をそのまま用いています。

その他の値については記事中で説明がなかったので、生成AIで以下のような基準をつくってもらいました。

  • c: 設置場所による発電効率
    • 設置場所の悪条件(方角、傾き、日陰など)によるロスを係数化したもの。
      理想状態(南向き・日照良好)に対しする割合。
    • 設定目安:
      • 南向き・傾斜角適切:1.0
      • 東西向き・やや日陰:0.5~0.7
      • 北向き・日陰あり:0.3~0.4
      • 屋内設置(窓越し):0.1~0.3
  • d:発電時間
    • 実際に十分な日照で発電できる時間(日照時間とは異なる)。
      日中でも雲や角度の影響で、実効的に発電できる時間は限られるため。
    • 設定目安(日本の平均):
      • 晴天の夏:3.5~5時間
      • 春秋の平均:2.5~3.5時間
      • 曇天や冬:1.5~2.5時間
  • e: 安全係数
    • 各種ロス(変換損失、バッテリー充電損、ケーブル抵抗など)を考慮して控えめに見積もるための係数。
      実際の出力が理論値より下回ることが多いため。
    • 設定目安:
      • 極控えめ:0.6~0.7(実用上確実)
      • やや控えめ:0.8
      • 理想計算:1.0(リスクあり)

消費電力

制御マイコンで潅水バルブを制御し、ネットワーク越しに監視しておきたいと考えています。

パーツ毎に消費電力を概算してみます。

モバイルルーター

一般的なモバイルルーターの消費電力は約5~15Wのようです。

消費電力を明示している機種があまり見当たらないのですが、”Speed Wi‑Fi DOCK 5G 01”は問い合わせしたところ、10Wぐらいと回答があったとの話がありました。

基本スペックには以下のようにあります。
 連続通信時間:540分
 連続待受時間:880時間
 バッテリー容量:5,400Ah

リチウムイオンバッテリーの電圧は3.7Vなので、バッテリー利用時の消費電力は以下のようになることが予想できます。

 バッテリー容量:5,400mAh
 電力量(Wh) = 5.4Ah × 3.7V = 約19.98Wh

 通信時(連続通信:約540分 = 9時間)
 消費電力 = 電力量 ÷ 時間 = 19.98Wh ÷ 9h = 約2.22W

 待機時(連続待受:約880時間)
 消費電力 = 19.98Wh ÷ 880h = 約0.023W

USB給電だとこの値はもっと大きくなることが予想できます。
控えめに見て10Wの値を採用し、以下のように見積もりました。

項目備考
a待機電力1.0W10Wの1/10を仮定
b待機時間24h
c消費電力10.0W10Wを最大消費電力と仮定
d使用時間1h
e合計消費電力33h

制御マイコン

Arduino系かRaspberry系のボードを考えています。

初期見積もりということで生成AIで概算しています。
(実際には実動作時に妥当性確認は必要です。)

外部から確認できるようにアイドル状態ではWiFiは待ち受け状態、動作はセンサー読み取りやバルブ制御を考えています。

ボード待機電力(WiFi接続、アイドル)消費電力(軽負荷動作)
ESP32系約 0.08~0.16 W約 0.2~0.6 W
Arduino Uno R4 WiFi約 0.45~0.6 W約 0.8~1.2 W

ボード待機電力(WiFi接続、アイドル)消費電力(軽負荷動作)
Raspberry Pi 4B約 2.0~3.5W約 4.0~6.0W
Raspberry Pi 3B/3B+約 1.5~2.5W約 2.5~4.0W
Raspberry Pi Zero 2 W約 0.5~1.0W約 1.0~1.5W

バルブ

電磁開閉のバルブは連続通電式とラッチパルス制御方式があるようです。

連続通電式は動作中に常に電流を流し続け、コイルでバルブを開けます。
単純なON/OFF制御で扱いやすく、通電が止まると閉まるため安全といえます。
消費電力が高く、加熱するのが難点です。

ラッチパルス制御方式はパルス電流で開閉し、保持に電流不要なものです。
動作の瞬間だけ電力を消費するため、消費電力が低いです。
ただ停電の場合などバルブ開のままになる可能性があり対策が必要です。
またバルブの制御に極性反転の電圧をかける場合があるなど、追加回路が必要になる可能性があります。

安全上の理由で電源断時に自動で閉じたい用途(例:給水制御など)には連続通電式。
省電力で長期間保持が必要な装置(例:バッテリー駆動の潅水システム)にはラッチパルス式が有利といえます。

今回見つけた製品では、連続通電式では3W、ラッチ式ではほぼ0Wとしてよさそうです。

まとめ

以下のような条件で消費電力と発電量の差をまとめました。

  • バルブは2つ。
  • 連続通電式バルブの動作は1時間/日
  • WiFiルーター、制御マイコンは24h電源オン
  • WiFiルーター、制御マイコンの軽負荷の動作は1時間/日
消費電力見積
消費電力見積

概算のレベルですが、ひとまず大丈夫なようです。

ただし不確定な要素が多く、精度を上げるには実測が必要です。

見積もりが甘かったり、欲張っていろいろしようとすると、電力不足はになるかもしれません。

参考資料

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すかいす
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駆け出しブロガー
デジタル回路の設計、検証をしていた半導体エンジニアです。論理設計やFPGA、生成AIなどの技術を自由研究のように楽しむブログです。学び直しや試行錯誤の記録もゆるく発信中。
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